年の中途で扶養親族が就職、退職、結婚、離婚した場合は?
2018/11/07
扶養の対象となる親族や配偶者の状況が年の中途で変わることもありますよね。
例えば年の中途で扶養親族が就職、退職した場合。年の中途で扶養親族が結婚した場合、配偶者と離婚した場合などです。
このような場合の扶養親族や配偶者の取り扱いはどうなるのでしょうか。
以下で各ケースについて考えてみましょう。
前提として所得税法上の扶養親族とはその年12月31日において生計一の親族で合計所得金額が38万円以下(給与収入の場合は103万円以下)の人を言います。
ただし、配偶者については一定の条件が加わります。
年の中途で扶養親族が就職、退職した場合
・年の中途で就職した場合
扶養親族が新社会人として年の中途で就職したようなケースを考えてみましょう。
まず就職した4月から12月31日までの給与収入が103万円を超えている場合は上述した合計所得金額38万円以下という条件を満たさないため当然扶養親族には該当しません。
では10月に就職して給与収入が103万円以下であればどうでしょうか。こちらは問題なしに扶養親族に該当すると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが一概にそうとは言い切れません。
例えば10月に就職して親元を巣立ち一人暮らしを始めて完全に生計が別であった場合、給与収入が103万円以下であっても、その年12月31において「生計一」であるという条件を満たさないため扶養親族に該当しないのです。
「生計一」とは簡単に言えば同一の財布で暮らしているということですがこのケースのように完全に財布が別であれば「生計一」ではありませんから扶養親族の要件を満たさなくなってしまいます。
・年の中途で退職した場合
社会人である親族が年の中途で退職したようなケースを考えてみましょう。
こちらもその年の給与収入が103万円を超えている場合は合計所得金額38万円以下という条件を満たさず当然扶養親族には該当しません。
では103万円以下である場合は必ず扶養親族に該当するでしょうか。
この場合も年の中途で就職したケースと同様その年12月31日に「生計一」であるという要件を満たさなければいけませんので例えば退職した後も親と離れて暮らしていてご自身の預貯金等で生活しているようなお子さんの場合はやはり「生計一」という条件を満たさず扶養親族に該当しないということになります。
年の中途で扶養親族が結婚した場合
扶養親族の対象となる親族が年の中途で結婚したケースを考えてみましょう。
上述した通りその年12月31日において収入面の要件だけではなく「生計一」であるという要件も満たす必要があります。
よって12月31日時点でお子さんの収入が103万円以下であっても結婚した相手と生計を共にしているのであれば「生計一」であるという要件を満たしませんから扶養親族には該当しません。
年の中途で配偶者と離婚した場合
この場合には収入面での要件を満たしたとしてもそもそも離婚した時点で「配偶者」に該当しませんので控除の対象となる配偶者として配偶者控除の適用を受けることはできません。
あくまでも12月31日の時点で「配偶者」であることが要件とされます。
まとめ
控除対象となる扶養親族や配偶者を考えるとき、収入面での条件のみによって判断してしまいがちですが上述した通り12月31日の時点で「生計一」であることや「配偶者」であることなど、収入面以外の要件も満たさなければ控除対象とすることはできませんので注意が必要です。